○いわゆる無届医業類似行為業に関する最高裁判所の判決について
(昭和三五年四月一三日)
(三五医第一六号)
(厚生省医務局長あて長崎県衛生部長照会)
医発第二四七号をもって通知がありました標記について更に疑義を生じましたので左記事項につき御教示承りたく照会いたします。
記
(1) 法第一条あんまのうちには指圧も含まれており無資格者がその行為を行えば当然取締りの対象となるものであるが、しかしいわゆる医業類似行為業のうち手技に指圧が含まれているとすれば、その指圧療法が無害であれば取締の対象とならないと思う如何にすべきか。
(2) 法第十九条第一項に規定する届出医業類似行為業者についての当該事務に関する取扱いは従来どおりとされているが無届者がHS 式等同一器具を用い営業を行う場合は法の対象外となり法第十九条第二〜三項(医師法違反以外)についてもその対象とならず矛盾している。如何にすべきか。
予想される現象として、届出済の者で取締の対象から逃れるため、廃業届をする者が出てくると思われる。その結果は全くの野放し状態になるが、立法の主旨から考えて好ましいこととは思われない。
(昭和三五年六月一三日医発第四六七号)
(長崎県知事あて厚生省医務局長回答)
昭和三十五年四月十三日三五医第一六号をもって貴県衛生部長から照会のあった標記について、左記のとおり回答する。
記
1 昭和三十五年一月二十七日の最高裁判所の判決は、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法(以下「法」という。)第十二条に規定する医業類似行為に関するものであり、法第一条に掲げる指圧を含むあん摩等は、判断の対象になっていないのであって、昭和三十五年三月三十日医発第二四七号の一本職通知第一項にいう手技にも指圧は含まれていないものである。
従って、あん摩師免許をもたず、かつ、届出により暫定的に指圧を行なうことを認められている者でない療術者が、客観的に指圧に該当する施術を業として行うのであれば、その事実をもって法第一条違反として、法第十四条第一号の規定により処罰の対象になるものと了解されたい。
2 法第十九条第一項の規定による届出の効果は、法第十二条の禁止規定にかかわらず、届出に係る医業類似行為を業として行なうことができることであり、法第十九条第二項及び第三項は、それに附随する規制であると解して取り扱われたい。
なお、HS 式療法が無害であるとして本件報告が無罪となったものでないので、念のため申し添える。